20年近く前に購入した(頭にソニーがついている時代)ハンディー型マルチメーターに簡易オシロスコープ機能がついていた。
トランジスタ技術の記事にSTA55G(前世代はサンプルモードのみ)のプリンター向け赤外線情報を受信してパソコンで作画する記事が気になり上位機種55Wを購入。
55Gはサンプルモードだけなので、6ビットADCの値を128バイト(+前後に細かい条件情報が含まれる)を受信してそのまま作画するだけ。(結局ソフトは手に入らなかった)
55Wは新機能としてロガーモードやピークディテクトモードを搭載した。(データフォーマットが全く違い画像圧縮を行っている)
似たようなソフトを自作するために赤外線情報を解析すると…妙に短い。ADC生データ6ビット*128バイトでもなく、画面データ縦64ドット*横128ドットでもない。
念のためにサンプルモードにすると下位機種と互換性があるトラ技に書かれた解析データと同じサンプル値をそのまま送ってくる。(ADC自体は8ビットタイプ)
新機能のロガーとピークディテクトは圧縮しているのでソフトを手に入れたとしても非対応なので全滅。
・赤外線リモコンのデータをシリアル受信できるように電圧コンバーターを作る
ヘッダーはASCII文字で日付と時刻や電圧電流値を送ってくるのでプロトコルの設定は同じことを確認。
データ部分はヘッダー以降、8ブロックに別れていて画像の内容に関係なくベタかと思ったら絵柄の細かさと送信量が連動している(画像圧縮を行っている)
0x00から0xffまでフルレンジで送信してくるので通常のターミナルでは受信できない。(一部のコード改変されることに気付くまでドツボに填る)
ターミナルソフトを調べていたら改変したり間引いたりするソフトが多い中、バイナリ情報を丸ごと取り込める TeraTerm を発見
・データを解析する
ヘッダーはASCII文字の集合体なので分離は簡単。・解析結果に基づいて作画する
ブロック内のヘッダー10バイトの解析から始めると識別モード、行(8ブロック中何番目か)、データバイト数、圧縮されたデータ本体、最後にチェックサム
(赤外線受信の精度が悪いことに気付かず解析に手間取る)
試行錯誤で真っ黒、真っ白、左半分、右半分、中央だけ、上半分、下半分、ランプ波形等々ありとあらゆる画像データを作り送信。
(テスターに作画機能など存在しないので信号を操作したりポジションを操作して作りあげる)
プリンター向けの情報なので印字ヘッドの方向と画像の方向が違う
8ブロックは印字の遅さに合わせたものでもある
128バイト(ビットにも思えるが実は縦8ビット単位で横方向に画像圧縮)で最小は2〜3バイト
チェックサムはデータ部分を加算して単純に反転させたもの
等々解析は着実に進むがデータ受信の欠落も重なり共通点を見いだせなくなってきたので…我慢していた奥の手(暴挙)を使う。
校正も修理もできないような20年前の機種、することと言えば…
表面実装の直づけROM(27256)を取り外して変換基板に移し替えてDIP専用ロムライターで吸い上げてZ80(互換)逆アセンブル
画像圧縮の常套手段、特定データ(0x00や0xFFや1ビット=横線)は専用の短いコードを割り当てることを知る。縦8ビットを1単位として右隣との差分(リピート数)をカウントオシロスコープモードとロガーモードは同じ画像情報として取り扱う(圧縮方法は同じ)
ビットマップに展開して完了(それにしても画面が小さい)・完成
ハンディータイプの信号源ですがTekと名の付いた製品です。簡易型とは言えここまでノイズが乗る製品
はちょっといただけません。SNの仕様(>=60dB 5MHzローパス)からはこの高周波重畳パルス
は反応しない帯域なので数値としては大きく現れることもなく仕様内(スルーで65dB)ではあります。
このロットより後期の製品やTSG95は知りませんが手持ちのTSG90はスイッチングノイズが重畳さ
れています。ACアダプタなら約DC15V、乾電池ならばDC12Vから+5VステップダウンDC-D
Cコンバータにより+5Vと-5Vを生成しています。このときのスイッチングノイズが盛大に出力映像信
号に重畳されます。
ちなみに31.2mVp-pなので約4.4IREにも及びます。スイッチング周波数が約150kの非同期
周期で、パルス周波数は(26ns=約38MHz)ですが結構気になります。ビデオ映像帯域外ですがW
FMでも4IREは観測出来ますし(妙に線が太く見える)40MHzのアナログオシロでも見えます。
民生AVセレクタを通しても出てきてしまいます。
同期信号(ペデスタル)でのノイズ重畳波形(トリガ:ビデオ:映像波形)
4.4IRE(%)は結構大きめです。SMPTEカラーバーセットアップ+-4%とほぼ同じレベルです
ビデオ出力信号に重畳されたスイッチングノイズ(トリガ:レベル:ノイズ)
スイッチングパルスのリンギングがそのまま現れています。
購入当時に指摘したときは
「こんな事をおっしゃるお客さんはあなたが初めてです。ハンディーなので仕方ないんですよね。パターン
設計からし直せば改善出来ると思いますが・・・」と言われて終わりました。
サービスマニュアルを見るとスイッチングコイルの隣がDA後のフィルタだったり、デジタル系はフィルタ
(4.7uHだけですが)も通らずそのままです。このノイズ以外は、10ビットDACを8ビットデータ
でドライブして映像フィルタもディスクリートに高価高精度のディップマイカを使っているのでハンディー
なのに国産アナログ信号源や注意深く設計されていないデジタル信号源や各社D2デジタルファイリング装
置の出力性能などと比較しても意外にも通用する性能を有しています。
それだけに、つまらないスイッチングノイズが被っているのは非常に残念です。
(ハンディではありますがTek製品でありそこらの一般家電での不具合レベルとは違います)
使用目的から考えると許容範囲かもしれませんが、ハンディーと言えどもお粗末な話です。
使用用途
ビデオテープの頭にカラーバーを入力しておき、今後の経年変化を確認する
ビデオデッキの特性チェック
テレビの調整(毎日?)
店頭でVTR&TVチェック(敬遠されるでしょうが)
カタログ1(表)
・アナログテスター対デジタルテスター
・デジタルテスターの表示桁数
私はフルークのFLUKE45を使っています。当時は5桁のデュアルDMMとして珍しかった
のですが、今なら同じ価格でHPの高精度なDMMが手に入ります。
・デジタルテスターでも校正に出す?
・変わったテスター
秋月電子からACアダプタータイプの電流検知モジュールを挿入するデジタルテスターが販売されています。
力率まで表示出来ますが、どこまで正確なのかはさだかではありません。(電球&ヒーターで校正チェック?必要)
クランプメーターでエアコンを測定すると、どんな動作をしているのかが分かって安心します。(最大17A)
省エネを電力会社を奨励するのならば、ブレーカーに「今何アンペア?」でもつけてほしいと思います。
オシロスコープ
オシロスコープが表示帯域点が-3dBなのに対して、WFMは帯域10MHzと言えば+-1%
以内を保証します(帯域内全て)オシロスコープの場合は帯域内全てがフラットかどうかまでは
規定しない事が多いようです